シマノの新デュラエースR9200?R10000?では半無線化と12速化、更にマイクロスプライン化による10Tの採用が特許から読み解れました。
カンパニョーロは既に12速化したスーパーレコードやレコードを販売しています。ところが最近興味深いフリーボディのニュースが飛び込んできました。
詳しくはBike News Magさんの記事を参照して頂ければ幸いです。
記事によるとフリーボディを小さくし13速化を目指していると書かれていますが、そういった意図があるのかどういう機構かを特許から予想したいと思います。
この記事の内容
米国公開特許公報US20200239105
もう結論から言うと、この特許では最小が9T、最大が44T、そして13枚構成のスプロケットについて記載されています。
この時、勘のいい方は「ん?」と思ったはずです。
ロードバイクで、44T?大きすぎないか?と。
更に勘のいい方はこう思ったはずです。「フロントシングルか?」と。
例えば、フロントシングルとして、50Tの場合、50T-9Tの組み合わせは、90rpmで62.9km/hにも達します。
一方それを今の最小ギア11Tで再現しようとすると、フロント60T-11Tといった組み合わせが必要となります。そんな大きなギアは通常のロードバイクの範囲外なので、プロ選手が60km/h近く出すときにはケイデンスを110rpm等まで上げる必要がでてきます。
90rpmというで60km/hを出せるのはプロ選手にとっては魅力的でしょう。
一方で50T-44Tはプロ選手にとっては小さすぎるギアです。しかし50T-36Tの組み合わせは、現行プロ選手でも使われる39T-28Tの組み合わせと同じギア比になります。
つまり、フロントシングル50Tにリアのスプロケットが9T(または10t)~36Tという範囲であれば、現在使われている54-39Tの11-28Tのような組み合わせをカバーできるということです!
総範囲と平均比率
上記で確認したのは最大と最小であって、その間については確認していません。
この最大と最小の範囲を「総範囲」と呼ぶことにします。カバーできる範囲が広ければ広いほど数字が大きくなります。
一方ギア間比率は数字が大きくなればなるほどギア間の差が大きくなるので、スムーズな変速とは言えなくなります。
現行SRAMの12速のカセットは最大総範囲が400%です。ギア間平均比率は15.8%です。
一方Shimanoの11速のカセットは最大総範囲が318%です。ギア間平均比率は15.4%です。
カンパニョーロのEkarは9-42Tの場合、総範囲が367%でギア間平均比率は13.8%と小さくなります。これが段数を増やすことのメリットです!
先にフロントシングル化で検討した9-36Tのようなレンジになれば、総範囲自体は小さくなりますが、ギア間平均比率はより下がることが分かります。
オフロード用?
どうも特許の背景の部分では、このスプロケットは、シクロクロスのようなオフロード用にデザインされているようです。そうであれば、44Tや52Tという大きなギアも納得できます。
オフロードを走るバイクは、舗装された道も走りますし、荒れた路面も走ります。
舗装された道では小さなギアでスピードを出していきますし、荒れた路面は斜度が25%を超えるような激坂があったりもするので大きなギアが必要となります。
ロード用にデザインされた11-30Tのようなギアでは不十分なシーンも多く、9-42Tのようなデザインは納得できます。
まとめ
いずれにせよ、特許はあくまでも権利化を目指すだけであり、権利化=商品化とは言えません。
将来的にこの特許の一部を使って商品化をする可能性は大いにありますが、それが近々のことなのか、または全くされないということも考えられます。
ただ、SRAMに始まった多段化は、カンパニョーロも追随し12速化し、来年にはShimanoも12速化したDura-aceをリリースすると噂されています。
それらを考えるとカンパニョーロの13速化というのもあるのかもしれません。
立ちはだかる問題として、スプロケットの厚みやチェーンの厚みなどもありますが、そのあたりについては本特許には記載されていないようです。
僕としては、ロード用には難しいのではないかと思うのですが、続報を待ちましょう!