ホイール

空気入れたらホイール爆発した

ちょっと前までホイールの選択と言えば、シマノカンパニョーロ(フルクラム)マヴィックの3択でした。というのは、少し前までホイールと言えばアルミが主流で、金属加工というのは参入しにくい分野だったからです。

ところが成型が容易なカーボンが主流になることで、多くのメーカーが参入できるようになりました。お陰で数十万円するのが当たり前だったカーボンホイールの価格がグッと引き下がり、WiggleのブランドPrimeに代表されるようなお買い得なカーボンホイールが手に入るようになってきました!

一般的なサラリーマンの僕にとっては高いものをホイホイ買えるような稼ぎはないので、できればコスパの良いモノを買いたい!と思ってまうんですが、そういう方も多いのではないでしょうか?

ただロードバイクやホイールは30km/h、40km/h、下りだったら60km/hでも出るモノです。そんなスピードで何かあれば一瞬で大けがまたは最悪の場合死もありえる危険なスポーツです。

そんな命を預けるホイールが、空気を入れただけで爆発する事故がありました。

Spaziale

スパザイアーレと読むのでしょうか、2014年にロサンゼルスで立ち上がった新気鋭のブランドです。

軍事用宇宙船やF1のカーボンファイバー技術が使われているようです。

確かに今や飛行機もカーボンで作られる時代です。求められるそのカーボンの強度や熱耐性、成型精度などが想像以上の品質だと思います。

そんな分野で培われたカーボンファイバー技術を以て作られたロードバイク用のリムは確かに良さそうに聞こえます。

リムの軽量化による弊害

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Spazialeのホイールにタイヤを嵌めて、空気を入れたところ、リムが爆発し、カーボンの層が剥離しているのが見えます。

確かにチューレスではここに空気の圧(6~8Bar)がかかるので、耐久性が求められます。ところがサイクリストの心理として、軽量ホイールが欲しいというのがあります。

軽量ホイールを作る為にできることと言えば、ハブの軽量化かまたはリムの軽量化がメインです。その時にリムの軽量化をあまりにしすぎてしまうと、サイドウォールがどうしても脆くなり、このように圧に耐えきれず爆発してしまうと考えます。

ハブの軽量化による弊害

一方ハブを軽量化すると、力を受けて車輪を安定化させる必要があるところがたわんでしまい、力が逃げ、全く走らないホイールが出来上がります。

これはいくらフランジ幅を大きくしようとも、まったく関係なく、単純にハブが歪むと考えてください。

ハブの歪みは特にリムブレーキ用のクイックリリースで起きます。なぜならば、クリックシャフトは非常に細く、また軽量化もされており、シャフト自体それほど硬く作られていないからです。

シャフトが曲がる素材でも良いのは、そのシャフトを受けるハブが曲がらないことを前提としています。外側が曲がらなければ、中側も曲がらないという理屈です。

三大メーカーは異常な軽量ホイールを作らない

だからこそ、長くホイールを作る三大メーカーは、異常に軽いホイールは作らないのだと想像できます。

彼らもこれまで沢山の失敗作をリリースしてきました。その度に学び、アップグレードし、だからこそ近年ではズッコケなホイールはもう作られていないのだと確信しています。

一方こうした新気鋭のブランドはそうした失敗を「これから」していく可能性があります。いくらカーボンの成型が上手くても、ホイールに関する「失敗談」が足りないからです。

最初から全部成功するブランドなんてありません。何かしら失敗します。

Spazialeは今回リムの成型または設計に失敗しました。だからこそこうした問題が起きます。

これが走行中に起こったらと思うと怖い…と言わざるを得ません。

100%安心なんてことはないですが、それでも歴史あるホイールメーカーが作るホイールなら、相対的に安全なのではないでしょうか?

安い、軽量ホイールを検討されている方も多いと思いますが、当たりを引いてしまわないとは限らないので、ご留意いただけますと幸いです。

安全に楽しくライドしましょう!