2021年の3月、SHIMANOは100周年を迎えます。
恐らくその時に発表されるだろう新型Dura Ace、9200または10000にはパワーメーターが標準装備されるのではないかと噂されています。
実際、ご存知の通りSHIMANOのパワーメーターは既に市場に出ています。
そして興味深いことにPioneerのパワーメーター部門をSHIMANOが引き取っています。
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発表当初、SHIMANOのパワーメーターは温度などの変化に弱く、他社の製品と詳細に比較すると優位点がありませんでした。つまり市場での競争力は低いと言わざるを得ません。
Pioneerで培われたベクトル式のパワーメーターの知見は、今後のSHIMANOのパワーメーターに生かされる可能性が高いです。
この記事の内容
ペダル型パワーメーター
実はSHIMANOは既にペダル型パワーメーターの開発も同時に進めているようです。
2014年には特許の出願がされていて、2018年に特許登録されています。製品に実装するには特許登録後の方が好ましいので、2021年の新型Dura Aceのラインナップにペダル型パワーメーターが追加されてもおかしくないと思います。
画像の形状から確認すると、従来型のSPD-SLが使用できる為、現行製品ではGarminのパワーメーターが競合品になると想像できます。
Garmin Vector 3 pedal-based電源メーター
ちなみに電力は乾電池または充電池を基本とし、太陽光発電や圧電デバイスにも言及されています。
圧電デバイスとは、現在新型Dura AceのSTIがワイヤレスかつそのブレーキやシフト動作、バイクの振動によって微弱な電気を発生させ、その電気でシフトシグナルを送ると噂されているシステムと同様のものです。
新型パワーメーターのデメリット
このパワーメーターは、データの送信やバッテリーをクランク内に埋められたコントローラーを使うようです。
そして特許によるとクランク内のコントローラーとペダルは有線で接続されているようです。
つまり、現在市場で多くみられているようなクランク型やペダル型のように別のバイクから別のバイクへ移すということができないようです。
ある意味、クランクとペダルが一体型の製品と言えます。
新型パワーメーターのメリット
従来のクランク型パワーメーターの大きなデメリットは、左右非対称性にありました。
左クランクは構造的にシンプルな為、ひずみの測定がしやすく精度よく測定できます。
一方で右クランクはドライブリングに接続されているため、ひずみを発生させにくい構造の上、複雑な為測定がしにくいという問題もあります。
またSHIMANOの従来品はそのクランクの構造に由来する温度補正に問題を抱えていました。
ペダル型はご存知の通りその非対称性に囚われることがなく、左右のパワーを複雑な補正なしに測定することができます。
これまでいくつかのサードパーティーからペダル型パワーメーターが発売されていますが、ペダル内で完全に完結しているのはGarminだけです。
まとめ
SHIMANOがもしこのペダル型パワーメーターを発売するとしたら、少なくともGarmin製品に対して優位性のある製品に仕上げてくる必要があります。
Pioneerのベクトル測定をもしペダル型パワーメーターに組み込むことができれば、その優位性は高まると考えられます。
残念ながらPioneerはもうすでに事業部をSHIMANOに譲渡済みな為、これ以上新たにベクトル測定のできるパワーメーターは発売されることはありません。
その高度な技術を要するパワーメーターはおそらく廉価製品を中心に製品を展開するサードパーティーでは開発することが難しいでしょう。
今後もベクトル測定をしていきたいコンペティティブなライダーにとって唯一の選択はSHIMANOからベクトル測定型パワーメーターが発売されることです。
あと2か月ちょっと発表が待ち遠しいですね。