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ゲラント・トーマス「フルームが移籍するか考えたこともない」

フルームの移籍話は、コロナウイルス前からされていました。モビスターに移籍か、はたまたイスラエル・スタートアップネイションか。

2020年以降の契約をチーム・イネオスはクリス・フルームに提示しておらず、ツール前の練習でどこまであの悲惨なクラッシュから戻せているのかが契約できるかの焦点でしょうか。

ただエーガン・ベルナルもまたマイヨジョーヌに情熱を燃やす若き才能あるライダーで、ゲラント・トーマスも2018年以来のマイヨジョーヌを手にしたいと思っているに違いありません。

クリス・フルームにまだ居場所はあるのか。

「いい関係だ」

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ゲラント・トーマスはクリス・フルームとの関係を常に「いい関係だ」と明言しています。ゲラント・トーマスが取った2018年も、クリス・フルームはチームにいましたが、序盤ゲラント・トーマスがクリス・フルームをアシストするシーンも見られましたが、後半総合優勝がクリス・フルームでは難しいことが分かると、クリス・フルームがゲラント・トーマスをアシストしました。

「私にとって、それはいつもと同じです。可能な限り最高の形でTour de Franceに着くようにしています。そして、誰かがが私よりも優れているなら、彼らをアシストしなければなりません。- そしてその逆もまた同様です。」

2018年も同様のことをメディアに語ったゲラント・トーマスの信条はいまも変わらず、のようです。

「誰もがバッドデイを過ごすことが可能性があると思うし、ツアーが突然終わるわけではないので、誰もが公平なチャンスを得ると思う」とゲラント・トーマスは言っていますが、エーガン・ベルナルがマイヨジョーヌを獲得した2019年は、クイーンステージの下りの先が洪水になっていた為、突然終わりを告げられました。

彼はその時、「あそこで終わりだと知っていたらもっと全力でプッシュしたのに…」と漏らしていたのも事実です。

クリス・フルームとブラッドレー・ウィギンス

今シーズンの熱い闘いをふり返る プレイバック2012/3大ツアー ...

「私たちはツアーで何度もお互いを助け合いました。最良の例ではありませんが、2012年のブラッドレー・ウィギンスとクリス・フルームです。」

2012年、ブラッドレー・ウィギンスはチームスカイのエースとしてTour de Franceに挑戦しますが、若かりし頃の勇猛なクリス・フルームの「献身的な」(または少し先行してしまう程の過剰な)アシストが話題となりました。

その様はチームスカイの不仲と報道されるほどでしたが、その当時のクリス・フルームは最後には役割に徹し、ブラッドレー・ウィギンスのマイヨジョーヌ獲得をアシストしました。

当時を振り返ってブラッドレー・ウィギンスは「あの時の俺の脚はクソだったが、それでも俺はエースだった」と振り返っています。クリス・フルームに例え俺以上の脚がその時あったとしても、アシストをするのが当然だと。

クリス・フルームとリッチー・ポート

弱虫ペダルファンの為のツールドフランス・アシスト物語 – チャリカフェ

2013年のTour de Franceではブラッドレー・ウィギンスが体調不良から出場せず、名実ともにクリス・フルームがチームスカイのエースとなりました。

しかし第18ステージで補給食を受け取りそびれたクリス・フルームはそのまま最終山岳に突入、残り5kmの地点でハンガーノックに陥いりました。それに気づいたアシストのリッチー・ポートはチームカーまで補給食を取りに戻り、クリス・フルームに渡し、山頂まで献身的なアシストをしました。

その後も数年に渡ってリッチー・ポートは常にエースであるクリス・フルームをサポートし続け、ブラッドレー・ウィギンスとクリス・フルームのような確執や、今のエーガン・ベルナルとゲラント・トーマス、クリス・フルームのような綱渡りのような危うさも感じさせませんでした。

それは決してリッチー・ポートがただの善人で、アシストで良いと甘んじたわけではないと思います。それはクリス・フルームによる強力なリーダーシップがあったからこそ、そしてそのリーダーをリスペクトしていたからこそ、リッチー・ポートは献身的なアシストを続けたのではないでしょうか。

Z世代

エガン・ベルナル「僕はGのアシストに徹するよ」 | gachihin

エーガン・ベルナルはまさにZ世代です。少し前から言われていたミレニアル世代の次がZ世代です。

彼らの特徴は自主独往と目的意識が強く、唯一無二のスタイルを重視する傾向にあります。一方クリス・フルームは既にミレニアル世代よりも上です。

ブラッドレー・ウィギンスにはじまり、クリス・フルームへの引き継がれていたチームスカイ・エース帝国の流れは、新世代のエース台頭によってまさに崩れ落ちようとしています。

それは今日の会社でも見られる光景かもしれません。先輩や上司をリスペクトの対象と思わず、平等であると評価するのは、若い世代では当たり前の感覚です。

これまでのような統治が難しい中でクリス・フルームのリーダーシップはエーガン・ベルナルを鎖で繋ぎとめられるのか、またそれが良いのかは8月29日から開催されるTour de Franceで明らかになるでしょう。

とても楽しみです!