僕がロードバイクを始めた約10年前、僕の感覚の問題もあるかもしれませんが、高級ホイールと言えばアルミ最高峰のデュラエースやカンパニョーロのシャマルでした。
時々、カーボンホイールのボーラなどを履いている人がいて憧れでしたね。
フレームもミドルグレードくらいのカーボンフレームに乗っている人が多く、コンポは紐アルテグラだったと思います。
当時、そこそこのハイエンドが40~50万円で買えていたのではないでしょうか。
一方、今のハイエンドは100万円超えが当たり前。
ロードバイクは貴族のスポーツなのでしょうか。
この記事の内容
アルミロードバイク時代
ホントに、どうしてこうなったのか。
僕がロードバイクを初めて買ったのは、2011年モデルのオルベア・アクア、ソラ組でした。確か10万円くらいだったと思います。
世の中はちょうど弱虫ペダルがブームになり始める頃で、それまでほとんど見られなかった女性ライダーが生まれるきっかけにもなりました。
ロードバイクをスポーツとして楽しむ裾野が広がり、多分あの頃の自転車屋さんは超うっはうっはだったのではないでしょうか。
街乗りしていたオルベアで自転車屋さんのチームの練習会に参加したところ、周りのみんなはカーボンフレーム、良いホイール、そして速い!
悔しくて、僕もすぐにカーボンフレームが欲しくなったのを覚えています。
カーボンフレーム時代
次に僕が買ったウィリエール・グランツーリスモ・アルテグラは破格の23万円でした。
ホイールこそR500がついてきましたが、コンポはフルアルテでミドルグレードのカーボンフレーム、いうなればホビーライダーにとってはホイール以外は十分なスペックです。
周りのみんなも、リドレーのフェニックスやサーベロのS2、ラピエールのゼリウス、チッポリーニといった感じだったと思います。
ここからホイールやハンドル、サドルをいじったとしても、やっぱり40~50万円でほとんど文句のつけようがないようなハイエンドマシンが出来上がっていたように思います。
カーボンホイール時代
弱虫ペダルブームに乗って、サイクリング人口が爆発的に増え、そして淘汰も起きつつ、やり続けた人の多くはカーボンフレームを購入していったのではないでしょうか。
その次にきた流れはカーボンホイールだと思います。
FastForwardが比較的安めのカーボンホイールを売り出し、僕も大いに検討したのを覚えています。
スイスストップのイエローといったキーワードもこのあたりで良く聞かれたのではないでしょうか?
このころのカーボンホイールはプロが今でも使うチューブラーがほとんどで、一本1万円くらいするタイヤを使わなければならない状況でした。
というのもカーボンホイールの熱耐性まだ低く、ハードブレーキするとリムが熱を持ち、クリンチャーなどではバーストの危険性があったからです。
そこで登場していたのが、リムはアルミ、でもハイトを稼ぐためにカーボンで覆うといったカンパニョーロのバレットシリーズや、マヴィックのコスミックシリーズでした。
そうすることで、クリンチャータイヤを使う事ができ、かつブレーキもアルミなのでしっかり効く、でも少し重いといったちょうど中間のようなホイールです。
この頃はボーラワンで25万円、ボーラウルトラは40万円みたいな時代で、ほんとに誰でもカーボンホイールが買えるといった時代ではなかったように思います。
とはいえ、みんなどんどん導入していく中で、僕も中古ですがボーラウルトラを購入していました。
電動コンポ時代
一通りカーボンホイールの流れが進むと、今度は2016年頃から電動コンポの流れがやってきました。
電動コンポといえばプロが使うデュラエース!といった印象でしたが、その頃からアルテグラグレードでも電動コンポが出始めていました。6850シリーズですね。
そして8000シリーズにバージョンアップされたのを皮切りに、紐アルテグラ6800から紐アルテグラ8000にするメリットがそれほど大きくなかったので(フロントディレイラーのアームの動きが良くなったり、リアディレイラーがシャドー化した)、いっそのこと電動アルテグラ8050に変えてしまおうという方も多かったのではないでしょうか。
ドライブ側のクランクも太くなり、見た目が大きくかわった時代です。
電動のアルテグラはおよそ15万円~20万円。
紐アルテグラが10万円くらいと比較すると割高ですが、カーボンフレームを有し、カーボンホイールを既に有していた多くのサイクリストにとってアップグレードする場所がコンポーネントしかなかった為に、投資されていったのではないかと思います。
僕も同じように電動アルテグラを導入し、それ以降メインバイクは常に電動コンポになってしまっています…紐には戻れない魅力がやはり電動コンポにはありました。
パワーメーター時代
そうした電動化が進んでいくなか、パイオニアから物凄い商品が発売されました。
パワーメーターです。
これまでもプロ選手たちの一部はより高級なパワーメーターなどを使っているチームもありましたが、全員が使うほどではありませんでした。
一方、この頃からパワーメーターを各社が出してくるようになり、SRM、パイオニア、Stagesといったあたりが覇権を競うようになりました。
その頃で言えば、モビスターがSRMを採用しており、チームスカイがStages、現ユンボウィズマ(旧ロットNLユンボ)がパイオニアを採用するといった感じで、ホビーサイクリストのエリート層もどんどんパワーメーターを導入していった時代です。
僕もまたパワーメーターに魅了され、パイオニアのペダリングモニターを購入した一人でした。当時サイコンが3.5万円、パワーメーターが9万円くらいでしたでしょうか。
これにより各々の能力が可視化(数値化)され、その数値で競う時代がやってきます。
大FTP時代ですね。FTPをいかにあげるか、といったところにフォーカスされ、パワートレーニングといった分野が大人気となりました。
ヴェンジ時代(ディスクブレーキ時代)
そして最後の時代がヴェンジが作り出したといっても過言ではない、ディスクブレーキ時代です。
ヴェンジは完成車売りで120万円の定価でした。
少し前の時代では20~30万円でホイールやサドルはしょぼくとも、紐アルテグラ・カーボンフレームを乗っていればソコソコだったのに、急に完成車の値段がグンとあがった印象があります。
ただこの完成車、全部乗せなんですよね。
これまで時代を追ってきた、電動コンポ、パワーメーター、カーボンホイール、そしてカーボンハンドルに、カーボンサドル、挙句にディスクブレーキ、もうまるごとこれだけ買えば何も他アップグレードするものがない、といった完全パッケージという売り方を始めたのがヴェンジ・スペシャライズドではないでしょうか。
実際、完成車ヴェンジ買って、変更する箇所はステムくらいだったかと…ちょっと重かったので。
これまでの流れをすべてぶち込めば、まあそりゃ100万超えてくるよね…というのも納得できます。
フレームだけでもハイエンドは60万円以上があたりまえ、ピナレロ・ドグマF12Xなどは90万円という価格です。
軽自動車買えますね。
まとめ
ロードバイクは相変わらず、10万円くらいから販売されており、もちろんそのくらいの投資でも十分に楽しめるスポーツです。
グレードマウント(「お前、ティアグラなの?w 俺デュラエースwww」みたいな)や、価格マウントといった言葉も聞かれてしまうくらい、自転車のグレードによるヒエラルキーみたいなものを作りたがる人もいますが、好きな自転車を好きなスタイルで楽しむのが一番だと思います。
最近ではハイエンドフレームのピナレロ・ドグマにコンポ105はどうなんだ、みたいな話をTwitterで見かけましたが、フレームやコンポに制約なく楽しめるのがホビーライダーの特権です!
フレームはハイエンドに乗りたいけど、予算上コンポは105なんて全然ありでしょう。そんなの走ってたらよく見えんし。
それよりも自転車乗りとしてカッコいいのは道交法をちゃんと守り、他人をリスペクトしながら、楽しむスタイルかと。
一部のハイエンドは確かに貴族の価格帯(僕は借金まみれでもやし食べて支払いしてる貧乏人です)になってしまいましたが、一部の酔狂が買うだけです。
ただハイエンドマシンが見た目にカッコいいものが多いのも事実なので、みんなでもやし食べて借金してハイエンド買いましょう。もやしダイエットにもなって一石二鳥ですよ。